3Dプリンター・造形方式別のメリットとデメリットを解説

3Dプリンターは、3D CADのデータ(STLデータ)から、立体をスライスした平面を出力し、この作業を繰り返すことにより立体そのものを出力する機械のことです。3Dプリンターは大きく分けて5修理の造形方式に分けられますが、この記事では、造形方式別のメリットとデメリットについて解説します。

3Dプリンターとは

3Dプリンター

3Dプリンターとは、3D CADのデータ(STLデータ)から、立体をスライスした平面を出力し、この作業を繰り返すことにより立体そのものを出力する機械のことです。造形に光を利用するものや、熱を利用するモノなど、3Dプリンターは大きく分けると5つの造形方式に分類されます。ここからは造形方式別の特徴や、各々のメリット・デメリットについて解説していきます。

3Dプリンター・業務用と一般家庭用

造形方式の説明に移る前に、3Dプリンターの利用目的についてお話ししておきましょう。3Dプリンターには、大型高性能の業務用と、コンパクトで比較的価格がお手頃な一般家庭用があります。

業務用3Dプリンター

3Dプリンターは、元々は業務で使用されていたものです。これまでの業務用3Dプリンターは、実際に販売する製品を製造するわけではなく、主にプロトタイプのために利用されていましたが、テクノロジーの進歩により、現在では最終製品の製造にも利用されるようになってきました。

一般家庭用3Dプリンター

3Dプリンターの特許は1980年代に出願されたものが多く、2000年代の終わり頃になると特許期限の終了により低価格3Dプリンターが販売されるようになります。2013年頃に3Dプリンターブームが訪れると、熱溶解積層方式を採用した一般家庭用の3Dプリンターが発売されるようになり、多くの人々が購入しました。しかし、人々が思っていたような性能とはかけ離れた製品も多く、その造形品質に落胆した購入者も多く、人気は下降していきました。現在でも一般家庭用3Dプリンターは販売されていますが、利用目的をしっかり決めて製品選びをしないと無用の長物になってしまう可能性もあります。

3Dプリンターの造形方式とメリット・デメリット

3Dプリンター

3Dプリンターには、大きく分けて「光造形方式」「インクジェット造形方式」「粉末焼結方式」「熱溶解積層方式」「粉末固着方式」という5種類の造形方式があり、それぞれにメリットとデメリットがあるため、用途に合わせて使い分けられています。

光造形方式

光造形方式は、3Dプリンターの元祖とも言える方式で、以前から業務目的で使用されています。アメリカでは1980年代にはこの方式の特許が出願されていて、製品化もこの頃から始まっています。日本で利用されている立体造形機械の多くが、実はこの光造形方式を採用したものであり、信頼性の高さは他の方式の追随を許しません。
造形は、プールの中に入れられた液体の光硬化性樹脂にレーザー光線(紫外線レーザー)を当てて固め、樹脂の層を作ることで行います。この作業を繰り返して層を重ねることにより立体成型しますが、この方式の特徴は細かい表現に向くこと。厚さ0.5mm程度の物体や繊細なパートの造形も行うことが可能です。また、多くの業者が導入していることからもわかるとおり、信頼性の高さも特徴の一つに挙げられます。

【メリット】

・複雑な物体でも一体成型が可能

【デメリット】

・重い物になればなるほど出力単価が高くなってしまう
・強度が低い

インクジェット造形方式

インクジェット造形方式は、材料に紫外線硬化性の樹脂を使います。この樹脂をインクジェットから噴射し、紫外線を当てて層を形成する作業を繰り返して造形します。一般の家庭やオフィスで使うインクジェットプリンターと似たような仕組みで、液体の硬化性樹脂を積層させて立体をプリントアウトします。インクジェット方式の材料には「ABSライク」「ラバーライク」などが対応しています。積層ピッチが細かいため、高い解像度で滑らかに表面を仕上げることが可能なほか、複数のノズルが備えられている機種の場合は、素材を混ぜて使うことが可能。造形スピードの速さも特徴の一つです。

【メリット】

・高解像度で滑らかな表面仕上げ
・造形スピードが速い
・機械自体の価格が比較的安い
・後処理がかんたん

【デメリット】

・紫外線に影響を受ける材料を使うため、日光に当たると劣化しやすい
・サポート材を多く使うため、製造コストは高い
・動作中の音がうるさい
・サポート材のにおいが強い

粉末焼結方式

粉末焼結方式では、粉末状の材料を使います。この材料にレーザーを照射し、焼結させることで成型していきます。原理的には光造形方式とほとんど同じで、ステージ上の粉末にレーザーを当てて焼結、硬化させたら、ステージを下げて次の層を作っていきます。使用される材料は、ナイロンなどの樹脂系のほか、チタンや銅などの金属が使えることが特徴です。そのため耐久性が求められる工業分野で主に使用されています。2014年に特許の期限を迎えたため、今後、安価なモデルの登場が期待される造形方式です。

【メリット】

・比較的精度が高い
・高い耐久性
・造形スピードが速い
・金属材料も使える
・サポート材を必要としない

【デメリット】

・粉末の材料を使うため、仕上りがざらつきやすい
・粉末材料を使うため、粉末除去装置などを設置する必要がある
・装置自体が大きい
・装置、材料、維持費などが高い

熱溶解積層方式

熱溶解積層方式は、一般家庭向けの3Dプリンターに多く採用されている方式です。材料に樹脂を用い、熱により樹脂を溶かして薄い層を作り、この作業を繰り返して層を積み重ねることで成型します。
材料に使用される樹脂は主にABS樹脂やPLA樹脂。これらを高温で溶解し、ノズルから押し出していきます。熱溶解積層方式の特許が2009年に切れたことから、低価格3Dプリンター登場の一因になりました。

【メリット】

・本体価格も材料価格も安い
・コンパクトな省スペース型
・材料がカラフルで趣味のもの作りに最適
・比較的造形強度が高い
・材料が扱いやすく加工がかんたん

【デメリット】

・造形精度が低く、積層痕が目立つことがある
・サポート材を必要とする
・成型に時間がかかる
・音がうるさい

粉末固着方式

粉末固着方式とは、材料として石膏を利用し、粉末と接着剤を交互に噴射して積層する方式のことです。造形テーブルの上に粉末状の石膏を敷き、その後にヘッドから液体接着剤を出して固めます。
粉末固着方式ではフルカラーの造形が可能で、比較的安く立体造形することができます。しかし、材料が石膏であることから造形物のもろさが難点です。

【メリット】

・ランニングコストが安い
・造形スピードが速い
・フルカラー造形も可能

【デメリット】

・造形物の強度が低い
・粉末材料のため、環境整備が必要
・造形精度が低い




3Dプリンター・造形方式別メリットとデメリット・まとめ

3Dプリンターのメリット・デメリットを造形方式別にご紹介してきました。一般家庭で使われている3Dプリンターのほとんどは熱溶解積層方式を採用し、コストパフォーマンスに優れることが特徴です。造形精度が低いのは難点ですが、趣味のもの作りに取り入れる程度であれば購入を考えてみてもいいかもしれません。
業務用として3Dプリンターを使用する場合は安価な一般家庭用モデルでは造形クオリティが低すぎて使い物になりません。業務の内容にもよりますが、大型の業務用モデルの導入を考えたほうがいいでしょう。製造業や工業では、金属材料が使用できる粉末焼結方式などを採用した機種がおすすめです。